自動車・電機・鉄鋼・商社など上場企業では過去最高益!若年層では『非正規雇用者』が増加し、格差拡大と少子化・未婚化の不安が強まる!
今年に入って日本の一部上場企業は、大幅に営業利益を増やし業績を伸ばしていますが、その一方で、若者世代の『非正規雇用者層(アルバイト・契約社員・パート層)』の割合が増えて将来の経済格差の拡大や未婚化・晩婚化による少子化の進行が心配されているようです。確かに日本の企業社会の風土では、大学の新卒時採用以外の中途採用に余り熱心でない企業が多く、即戦力となる人材のみを雇用したいという企業が多いので、いったん、正社員の枠組みから外れると自分の希望する職種での就職は難しくなりますね。
大学を卒業するまでの就職活動や公務員採用試験などにどれだけ本気で取り組むかによって、生涯賃金に大きな格差が出てくる傾向が強まっているということです。30代以降にフリーターをしていると、収入面で将来が不安ということもありますが、結婚生活を支えるだけの所得が得られないので、相手がいても結婚が出来ないという問題も生じてくるかもしれません。本人が結婚する意志や欲求がなく、非正規雇用者でも自分が生活するだけの所得が得られれていれば問題ないのかもしれませんが、少子高齢化社会の進展や社会保障制度の継続困難を考えると難しい問題です。
また、非正規雇用ではボーナスがなく昇給も殆どないので、貯蓄額や将来保障に大きな格差が開くのではないのかという問題もあり、老後の生活を支えていけるのかという不安もあるでしょう。現在でも生活保護の給付にはかなり厳しい制限があるので、将来、更に財政が厳しくなると生活保護を必要とする世帯に給付が行われなくなる恐れもありますが、その場合にはどうなるのか政府も国民も具体的な対応を考えておく必要がありそうです。
若者の非正規雇用が急増・06年版労働経済白書企業などに勤める雇用者のうち、非正規雇用の割合は20―24歳で最も高く、最新調査(2002年)では31.8%と前回(1997年)よりほぼ倍増した。白書は「収入の低い労働者の割合が増え、若年層で収入格差の拡大の動きが見られる」と分析した。
34歳以下の男性の場合、正規雇用者で結婚している人は39.9%だったのに対し、非正規雇用者では13.5%にすぎない。収入の低さと不安定な雇用が結婚をためらわせ、少子化の一因となっていることをうかがわせた。
しかし、日本経済全体の景気状況を見渡せば、鉄鋼・自動車・造船などの製造業も軒並み業績を回復させ、IT業界やネット証券業も過去最高の利益をたたき出している大企業が増えています。
インターネット専業証券大手5社(非上場の楽天証券を含む)の2006年4―6月連結業績が出されていましたが、大手5社全てが増収増益を果たしていて、トップの松井証券では38億円の黒字が計上され、楽天証券でも28億円も黒字を出しています。ただ、手数料を巡る価格競争が激化しているので、今後も継続して利益を上げ続ける企業は絞られてくるかもしれませんが、ネット取引を使う個人投資家は増え続けているので、ネット証券業界は、今後も成長を望める分野だと思います。