大学進学率は20%でいいという三浦展氏……基礎学力・職業能力・向上心につながらない「下流大学」の不要論!
新書『下流社会』などの著作で知られる消費社会研究家の三浦展(みうら・あつし)さんが、『下流大学が日本を滅ぼす!』(ベスト新書)という本を出版しています。以下の記事によると、この著書によって三浦展さんが主張したいのは、『基礎学力・専門知識・職業能力・向上心・自立心』を養えない下流大学は不用・有害であり、こういった大学の運営資金には税金を投入すべきではないということのようです。
大学進学率は20%でいい 「下流大学」に税金投入価値なし (連載「大学崩壊」第3回/消費社会研究家の三浦展さんに聞く)
三浦 明らかに多すぎます。勉強しなくても大学に入れる状況なので、学力のない学生を量産しています。親の学費負担などで社会の活力を奪っている面もあります。一定の学力のある学生だけ入学させるようにして、それで大学が半分つぶれてもいいと私は思います。そうでないと、大学行政は、不要な高速道路を大量に造って国民の借金を増やしてきた、あの悪名高い道路行政と同じではないでしょうか。
――「大学の下流化」とは、偏差値の低い大学が増えたという意味ですか。
三浦 いいえ、いわゆる三流大学が増えたということではありません。成績がいいか悪いかではなく、基本的な学力すらない、そして向上心や学ぶ意欲そのものが低い学生を生み出している大学行政、教育行政全体をそう呼んでいます。今では東大ですらそういう傾向があります。
大学のレジャー施設化や遊興期間化というのは何十年も前から批判されていたことですが、「高額な大学の学費」と「巨額な大学経営の公的負担」を考慮すると、今後は職業能力や専門知識、思考能力を向上させられない大学機関の存在意義が薄れていく可能性が高くなるのではないでしょうか。子どもの数が減少する少子化によって、大学の入学志願者が全員入学できるという『大学全入時代』に入ってきていますが、その一方で親の経済的問題によって私立高校を中退せざるを得ない生徒も増大してきているといいます。
『親の経済・教養格差』が『子の教育格差』につながってくるという問題も多く指摘されていて、この格差の連続性によって職業の世襲や社会階層の固定といった新たな問題が生まれてきますが、『大学全入時代』では『大学教育の名に値しない教育カリキュラム(中高生時代の学習内容の繰り返しレベルの講義)』が増えていることが懸念されます。こういった大学を『下流大学』としてラベリングすることの倫理的問題はありますが、高い学費を支払って大学を卒業しても、将来の仕事や職業に役立つ専門知識・技能をまったく得られなければ意味がないという意見も分かります。
しかし、今までの大学教育の内容を振り返れば、東大・京大・慶応・早稲田・医大などに代表される一部の一流大学の専門課程を除外すれば、大半の大学は『大卒資格・学士の学位』を形式的にもらって就職を有利に進めるためだけに卒業していたという現実があります。実質的に大学教育・専門課程教育のレベルに達していない三流大学であっても、大学を卒業していれば高卒の人よりも高い給与を貰える確率が上がるということがあったので、今まではどんな大学であっても高い学費を支払う親がいたのでしょう。
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