政府が国家公務員給与を平均7.8%下げる特例法案を優先。人事院勧告の実施を見送る!
政府が国家公務員給与を平均7.8%下げる特例法案を優先。人事院勧告の実施を見送る!
国家公務員の給与水準は『人事院勧告』を受けて決定するというのが憲法の規定であり、それが『労働基本権(団体交渉権・団結権・争議権)』が認められていない国家公務員の労働待遇の保護につながるという建前があります。しかし野田政権は、『復興財源の確保』を優先して『財政悪化の緊急事態』に対応するために、人事院勧告よりも国家公務員の給与カットを定めた『特例法案の通過』を重視するようです。
人事院勧告では給与は“平均0.23%の引き下げ”に留まっていましたが、東日本大震災の復興財源を確保する目的で6月に出した『特例法案』では“平均7.8%の引き下げ”を指示しており、国家公務員にとってはかなり大きな給与カットとなり異例の引き下げとなります。人事院勧告は民間企業の給与水準を参照して国家公務員の給与水準を決めていますが、近年では民間サラリーマンよりも公務員のほうが待遇が良いのではないかという『官民格差』の不満が高まっている問題もあります。
基本的には、人事院勧告が国家公務員の俸給を定めるために参考にしているのは、層化無作為抽出された『50人以上の従業員・規模を持つ民間企業』ですが、俸給水準は概ね大企業のサラリーマンに相当するものになっており、『中小零細企業や非正規雇用まで含めた民間の平均給与』と比べれば高額なのは当たり前といえば当たり前なのですが。また、給料だけを取り上げて『人件費コスト・財政負担の問題』を論じるのであれば、職務内容やその責任に比して地方公務員のほうが厚遇されており、平均給与も数十万円ほど高くなっていて地方財政は破綻に近づいています。
人事院は、人勧は国家公務員の労働基本権制約の代償措置であり、これを見送って採用しないのは『憲法違反の疑い』があるとして抵抗を強めていますが、藤村修官房長官、川端達夫総務相らは『国の厳しい財政状況や大震災に対処する必要性から臨時の特例措置として行うもので、人事院勧告の不実施が直ちに憲法の趣旨に反するとは言えない』との見解を示しています。
東日本大震災で民間も相当な増税負担を背負う可能性がでてきており、国家公務員にも相応の負担をしてもらいたいというこの法案の正当性はあるとは思いますが、『国家・地方の公務員の負担配分』を調整することも大切でしょうね。ヨーロッパの連鎖的な債務危機の広がりを見ていると、日本の景気悪化や雇用減少、財政危機に緊急的に対処する必要性が差し迫っていると思います。
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