タイの大洪水の被害と日本企業の生産拠点への影響!
タイの大洪水の被害と日本企業の生産拠点への影響!
タイで過去50年で最悪とも言われる大洪水が発生し、国内で深刻な被害が出ているが、タイは世界経済の生産拠点としても重要な国であり、自動車業界をはじめとする日本企業の生産体制にも影響がでています。7月からタイ北部で降り続いていた豪雨とタイの治水事業の未熟さが原因となり、タイの国土を縦断するチャオプラヤ川の上流で大洪水が発生しました。この洪水により、全国で3分の1の県が冠水して約300人が死亡する被害が出ており、首都バンコクの一部も浸水する事態になっています。
この被害額は少なく見積もっても1000億バーツ(約2500億円)とされており、タイ経済への影響が深刻なだけでなく、タイに進出している外国資本も相当な損失を出すことになりました。今後も大雨や海の大潮で洪水被害が広がる恐れが指摘されており、8月に発足したばかりの『インラック政権』ではチャオプラヤ川の治水事業が極めて重要度の高い政策課題になっています。
タイの中部アユタヤには日系企業が多く進出しているのですが、大洪水で主要な工業団地がすべて水没することになり、自動車・電機など日系企業の約320社に被害が出ています。部品の安定供給が難しくなったことを理由に、ホンダが操業を一時停止しており、トヨタ自動車も3工場の操業停止を延長していますが、日系の自動車工場そのものは被災はしていないということです。タイは『東洋のデトロイト』と呼ばれるほどに自動車生産が盛んな国になっていて、日本の自動車産業も中国・米国に続いて重要な海外の生産拠点であるタイに巨額の投資をしています。
タイには日系企業の各種部品メーカーも集積していて、『国際的なサプライチェーン(部品供給網)』の拠点としての重要度を増しているのですが、今回の大洪水の被害・損失によってタイ国内にある部品メーカーに部品を発注できなくなり、日系企業の生産能力がかなり低下する問題が出てきています。今年は東日本大震災や福島第一原発事故、台風12号をはじめとして大きな自然災害に悩まされる年になりましたが、経済のグローバリズムが進展した現在では、海外の自然災害による被害も無視できないものになっていますね。
タイ自らが防災復興体制を整えて治水を強化することが急務なのは言うまでも無いのですが、余りに被害が大きくなっていてタイ一国だけでの短期間での復旧が困難なことを考えると、日本とアメリカが中心となって『国際的な支援態勢』を拡充していく必要があると思います!また、日本の製造業のサプライチェーンにとっては、オーストラリアや中国に次いでタイが重要な拠点となっており、日本自身のためという部分でもタイへの手厚い復興支援・災害対策での協力が急がれるでしょう。
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