米国のイラク戦争終結宣言!アメリカはイラクが自由と独立を獲得したというが混乱は続く!
米国のイラク戦争終結宣言!アメリカはイラクが自由と独立を獲得したというが混乱は続く!
アメリカのオバマ政権は『イラク戦争からの軍隊の全面撤退』を指示していて、オバマ大統領は14日にノースカロライナ州のフォート・ブラッグ陸軍基地で『イラク戦争終結宣言』を出しましたが、バグダッドで15日に米軍駐留部隊の解散式が行われました。ブッシュ政権が9.11後に対テロ戦争として『アフガン戦争・イラク戦争』を主導して、膨大な人的犠牲と戦費を費やすことになりましたが、イラクのフセイン政権に対する米国の宣戦布告の理由は『化学兵器などの大量破壊兵器の保有してそれを放棄せず査察にも応じないから』というものでした。
しかし、戦後の調査ではイラク戦争の大義名分とされた『フセイン大統領の大量破壊兵器の開発・保有』は無かったということも明らかにされており、『イラク戦争の正義・必要性』や『フセイン大統領の短期間での死刑執行』には大きな疑問も寄せられています。イラク・イラン・北朝鮮を『悪の枢軸』として弾劾し、世界的な害悪として先制攻撃で排除しようとする攻撃的なアメリカの姿勢は、当時は一部で持てはやされましたが、現在ではそのユニラテラリズム(単独外交主義)やナショナリズムは危険な国家の暴走事例として批判されることのほうが多くなっています。
一連の戦争でアメリカが受けた経済的ダメージや人的損害、帰還兵の精神的苦悩も非常に深刻であり、イラク戦争後のアメリカの経済力や国際的影響力は大きく低下したままになっています。更に、『中国の軍事的経済的な台頭・EUの債務危機と金融不安・中東アラブの混乱・アフリカの内紛・アラブの春の拡大とシリアの国民弾圧』など、世界秩序の混乱状況や将来の不透明感が強まっており、経済危機と軍事緊張の火種が世界のあちこちで燻っています。
イラクの首都バグダッドで15日に行われた駐留米軍の解散式では、パネッタ米国防長官が『イラク戦争の成果によりイラクに自由と独立がもたらされた。イラクには様々な課題が残っているが、米国はイラク国民の側にいて支援を続ける』と語りましたが、この戦争によって本当にイラクに真の自由・独立がもたらされたと結論づけるのはまだ早計であり、イラク国内で旧勢力との内戦状態が続いている以上は、アメリカは国の責任としてイラク支援を継続する必要があると思います。パネッタ国防長官は『イラクは今後、テロや国内の分断を図る企てなどの試練に直面することになる』とも述べていますが、フセインの独裁政権を武力で転覆させて以降の新政府の統一権力の確立と治安維持はなかなか上手くいっていません。
2003年3月のイラク戦争開戦後に、米軍は07年のピーク時には17万人も駐留していましたが、今年駐留した最後の部隊は約4000人にまで削減されており、戦争終結宣言が出たため、数日中にもイラクを離れる予定になっています。アメリカ兵には4486名の死者(イラク民間人は約12万人の死者)がでており、イラク戦争に費やした戦費は8055億ドル(約63兆円)にも上りますが、イラク帰還兵にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)や社会不適応、孤独感・疎外感の強まりなどメンタルヘルスの問題も多く起こっています。
イラク・アフガン戦争の帰還兵の約135万人の約6割にあたる約85万人が失業状態にあり、約16%の21万人超が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているということからも、『戦争体験の深刻さ・苛酷さ・倫理的問題』について考えさせられます。
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