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2011.12.1800:19

野田首相が福島第一原発事故の“ステップ2の収束(冷温停止)”を宣言!地元福島県の佐藤知事は反発!

野田首相が福島第一原発事故の“ステップ2の収束(冷温停止)”を宣言!地元知事は反発!

今年3月11日に東日本大震災の津波・地震によって、レベル7(最大危険レベル)に相当する『福島第一原発事故』が発生して周辺地域が放射性物質で汚染されましたが、野田首相が『工程表のステップ2(冷温停止状態の達成)』が終了したことを宣言しました。福島県をはじめとする周辺地域の立ち入り禁止規制や土壌・水質の放射能汚染の問題(除染の課題)は依然として深刻なままですが、東京電力の管轄していた福島第一原発の事故そのものはとりあえず収束して、『メルトダウンした核燃料プールの発熱(再臨界)+更なる放射性物質流出』という危機的事態は押さえ込めたということになります。

野田首相が『原発事故収束宣言』をかなり前倒しして行った背景には、国際会議の場において『年内に冷温停止を実現して原発事故を収束させる』と公約していたことがあり、野田首相は『国際社会における日本の信用性・安全認識(=もうこれ以上の放射能汚染は起こらないという安全性の認識)』を取り戻すことを最優先する判断を下したと言えそうです。原発事故収束宣言では、『冷温停止状態に達し、万一事故が発生した場合も、(原発の)敷地境界線における被曝線量が十分低い状態を維持することができるようになった』と述べられており、使用済み核燃料プールの冷温停止と放射性物質の拡散防止に自信のある論調になっています。

原子炉そのものを安定的に冷やすという工程表の『ステップ1』は7月に完了していましたが、冷温停止を実現する『ステップ2』は当初は来年1月中旬までかかる予定でした。しかし、首相は年内完了を国際会議で公約していた経緯もあり、ステップ2の冷温停止の達成を急ぐと共に、原発事故収束宣言を早めに行うことになったようです。しかし、メルトダウン・メルトスルーによって溶融したとされる炉心は正確な場所の特定すらできていない状況であり、放射性物質の大気への放出も微量ながら依然として続いており、福島県の佐藤雄平知事は『事故収束宣言は時期尚早であり、県内の危機的状況が改善されたわけではない』という不満も述べています。

東京電力が作成した『原発事故収束作業の工程表』では、ステップ1を4~7月に実現し、ステップ2を7月~12月に実現して、2012年1月までには原子炉・核燃料の冷温停止を達成して放射性物質・汚染水の流出をほぼ確実に押さえ込むという計画になっていました。

工程表で収束のための課題とされていた項目には、『使用済み核燃料プールの冷却・原子炉自体の冷却・汚染水(汚染地下水)の流出抑制・余震津波対策・大気汚染と土壌汚染の抑制・線量の測定と除染・作業員の生活と職場環境の改善・作業員の放射線管理と医療体制構築・放射線測定委員の配置』など様々なものがありましたが、この中でも原発事故収束において最も重要度が高いとされる『核燃料プールと原子炉の冷温停止・放射性物質と汚染水の流出抑制』が実現できたと政府は判断しています。

野田首相が風評被害の解消や国際公約の優先を理由に『原発事故収束』を前倒しして宣言しましたが、福島県の佐藤雄平知事は『事故は収束しておらず多くの課題がまだ放置されている。多くの県民は不安を感じている』と強く反論しているようです。 現状では、1~3号機の炉心温度は9月下旬以降は100度を下回り続けており、今月15日現在で38~68度で冷温が保たれているので当面の危機は回避されています。放射性物質の外部への飛散は毎時6千万ベクレルまで減少して、事故時の1300万分の1にまで減少しており、発電所(オンサイト)の敷地境界で追加的に被曝する線量も最大年間0.1ミリシーベルトと目標の年間1ミリシーベルトを下回る成果は出しています。

今後の課題として残る問題は『広範囲にわたる除染・周辺住民や作業員の健康管理・避難している住民の帰還・損害賠償・30年以上かかる廃炉』などになりますが、政府は除染費として今年度予算と来年度予算案で1兆円超を充てる予定であり、政府の除染担当者数を来年4月までに400人規模に拡充するとしています。警戒区域に住宅のある住民がいつ帰還できるのかの目途は立っていませんが、政府・東京電力による損害賠償案の大枠はまとまっており現在でも逐次的な少額の賠償金の支払いが行われています。本格的な損害賠償請求は国家賠償請求・東電賠償請求の訴訟にもつれ込む可能性も低くはないでしょう。

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ジャンル : 政治・経済

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