福島第一原発事故を受けて学校の教科書の『原発の説明・意義の記述』に負の側面が追加されることに!
福島第一原発事故を受けて学校の教科書の『原発の説明・意義の記述』に負の側面が追加されることに!
東日本大震災で起こった悲惨な東京電力福島第一原発の事故を受けて、来年度の小中高校の社会科・物理をはじめとする教科書の多くで、『原発についての説明・記述』が負の側面と事故リスクを強調する形で書き換えられることになったようです。文部科学省によると中学の教科書では全体の3割で訂正申請が出されており、『原発安全神話の記述』が減って『原発事故のリスク』に関する記述が増えたといいます。『シーベルト』や『ベクレル』など、放射線の人体に対する影響や放射能の放出量を表現するための測定単位についても説明が加えられています。
原子力発電の技術や理論、リスク、放射線の説明の詳しさについて、原発事故の前と後とで『記述内容』が大きく変わるということは、『原子力発電の政治性・物語性』を感じさせますが、『原子力・放射線の科学的知識や科学的根拠』については政治性・神話的物言いを排除して科学的に正しい知識を教えてほしいと思います。来年度発行予定の教科書は小中高で計約1300点あり、今月8日までに106点について震災・原発事故関連の訂正申請が認められていますが、特に中学校用の教科書では全131点の3割近い37点について訂正申請が多く出されました。
原発関連の教科書の記述は、これまでは『発電効率の高さ・火力発電と比較した場合のコストの低さ・CO2排出量の少なさとエコロジー性・三重の防御壁とECCS(緊急炉心冷却装置)による事故リスクの低さ』など利点やメリットが多かったのですが、福島第一原発事故を受けて『原発安全神話の崩壊・大地震と津波に対する弱さ・原発事故の恐ろしさと放射能汚染・人が居住できなくなる放射能汚染・事故収束や汚染環境改善の難しさ・廃炉のコスト』など欠点やデメリットについての記述も増えたといいます。
教科書を作成する会社によっても論調は異なっていますが、東京書籍の高校現代社会では『原子力発電の『安全神話』は根底から覆された。世界では『Fukushima』の事故を契機に、原子力発電所の全廃を決めるなど『原発推進』を見直す国が出てきている』と書いており、原発推進政策に対する批判的立場や原発見直しについて言及しています。清水書院の中学社会(公民)では『(事故が起きれば)大きな被害が生じる危険性がある』を『とり返しのつかない大きな被害が生じる』と表現を強めており、原発事故の被害規模の大きさや環境汚染の深刻さをそれとなく強調しています。
太陽光発電・風力発電・バイオマス発電・地熱発電などの再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)についても以前は『石油や石炭をおぎなえるようにはなっていない』だったものが、『大きな期待がかけられている』へと再生可能エネルギーを支持するような記述に変えられています。数研出版の高校物理基礎の教科書では、放射線の影響について『将来のがんの発症の原因となったり、被曝(ひばく)量が大きい場合には急性の障害を引き起こすこともある』とより具体的に説明する表現にしており、放射性物質の持つ放射能の人体・健康に対する影響の大きさを示唆して、放射能による健康問題への興味関心を刺激しています。
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