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2006.07.2513:14

タバコ税増税でも、国際比較では日本のタバコはまだ安い?「喫煙者」と「非喫煙者」の健康を巡る埋めがたい断絶!

日本では、7月からタバコが一斉に値上げされてヘビースモーカーの経済状況は更に苦しくなりそうですが、WHO(世界保健機関)の国際的な禁煙キャンペーンの影響のためか国民のタバコの有害性に対する関心が高まり、今後もタバコ廃絶のための政策(タバコ税増税・喫煙場所の制限・未成年の喫煙防止の取り組み)は厳しくなっていきそうですね。

とはいえ、諸外国と比較すると、まだまだ日本のタバコは安すぎるという批判もあるそうです。僕は、諸外国の生活水準や倫理規範、法体系と自国のそれとを比較して、自国のほうが進んでいるとか遅れているとかいう意見を述べる論法はあまり有意義とは思えませんが、こういった論法は意外に啓蒙効果や宣伝作用が高いので市民運動や政治の広報、公共広告などで良く用いられますね。

タイのタバコの警告文は『喫煙は人を殺す』だそうで、この箱を持って街中でタバコを吸うのは確かに気が引けるでしょうから、禁煙運動には効果がありそうです。国際社会ではいつの間にか、タバコは銃火器や劇毒物と同等の危険な商品になっていたようで、ここまでタバコが排撃される前に禁煙した僕は、世界の流れに上手く適応できたということなのかもしれません。銃火器は大袈裟としても、外国の一部の国では麻薬同等の依存性と有害性のある嗜癖物質として敬遠されているのは確かなようです。

恐らくこの禁煙運動の一大ムーブメントというのは、政府や国際社会が国民の健康を本気で心配しているというよりも、タバコによる納税とタバコ由来の疾患の治療費の均衡が崩れたからではないかと僕は見ていますが、身体に良くないことは確かだし、毎日のタバコ代も馬鹿にならないので、止められる人は止めたほうが良いと思います。

タバコの値段はまだまだ安い

喫煙者には痛い値上げだろうが、日本は他の先進国に比べればまだまだ安い。ニューヨーク市内ではタバコの小売値は場所によって変わる(註)がおよそ7ドル(805円)。タバコ税を10年で8倍にしたところ、未成年者の喫煙率が46%から16%へと激減したというから、タバコカードよりも値上げ、そして警告文を変えた方が効き目がありそうだ。日本の警告文は海外のそれに比べるとどうも生ぬるい。

「タバコ煙のあるところに青酸ガスがある」(カナダ) 「喫煙は死因の最大部分を占める」(オーストラリア) 「喫煙時あなたは砒素・ナフタリンなど鼠やゴキブリ用の駆除剤と同じものを吸入している」(ブラジル) 「喫煙は人を殺す」(タイ) 「喫煙者は早死にする」(EU)

僕自身は、3年くらい前から禁煙して今は全く吸っていないのですが、吸っている期間が長かったのでストレス解消や時間潰しのために喫煙する人の気持ちは良く分かります。しかし、禁煙してみて改めて思ったのは、自分以外の他人のタバコの煙は意外にまずいものなんだなということ。タバコを吸わない人にとっては他人のタバコは何のメリットがないばかりか有害なので、禁煙するか否かは個人の自由としても、やはり公共空間では分煙を推し進めていく必要があるでしょうね。

ヘビースモーカーの喫煙者の意見として、『自分はそんなに長生きしようと思っていないし、別に数年くらい寿命が延びても縮んでも意に介さない。医療費は使うかもしれないが、早死にすれば年金給付がいらないからそれでトレードオフじゃないか』というものがありますが、これは喫煙者同士であれば通じる論理であっても、やはり出来るだけリスクを排除して長生きしたいという人が多数派である以上、他人の生命や健康を侵害せずに喫煙を楽しむという考え方は大切だと思います。

反対に、非喫煙者の健康を侵害するようなマナー違反の吸い方を喫煙者が繰り返し続けると、余計に増税の上げ幅が大きくなったり、屋外での全面的な禁煙が強制されたりするかもしれませんしね。

個別的事例で見れば、確かにヘビースモーカーで80歳以上生きている人は幾らでもいるわけですが、統計的なデータとして肺ガンや呼吸器疾患、心疾患などの発病リスクが上がることは確かなので、健康な身体を維持して苦痛の少ない人生を生きていきたい人は吸わないほうがいいと思います。まぁ、人生後半の疾病リスクにつながる健康問題よりも現時点での自殺者と関係する経済問題のほうが深刻だからそちらから解決しろという意見もあるわけですが、喫煙問題というのは『自己責任ではないリスクを押し付けられるのは嫌だ。長期的リスクでも他人のせいで病気にさせられるのは傷害罪と同じようなものだ』という他害のロジックに根ざしているので理屈で反論するのは難しい部分があります。

『自分で自分の健康を損なっても自己責任を負うから放っておいてくれ』という論理もありますが、健康保険には税金が投入されるから国家財政を圧迫するという意見で反論される可能性があるので、『自費で治療を受けるかタバコ税で十分な納税をするか』しか解決はないわけで……他人への侵害や迷惑を解決するためには、煙を出さない形態の次世代のタバコ代替商品を開発するしかないですね。これは大きなビジネスチャンスなので、依存性や耐性と共に精神をリラックスさせたり高揚させたりする商品を開発する企業は相当に大きな利益を上げる可能性がありますね。

まぁ、色々な関係法令で、薬事法とかにひっかかって商品化できない可能性が高いと思いますが、人間は精神に作用する娯楽や食品、嗜好品(コーヒーとか紅茶とか)が好きな生き物ではありますよね。有毒性や臭い、疾病リスクのないタバコというのは開発できないのだろうか……化学成分を分析してそれと類似の成分を含んだお香みたいなものとか……でもタバコをアロマテラピーとかで代替できないから、やはりタバコにしかない魅力(薬学的依存性)というか作用(精神の高揚や鎮静)があるんでしょうね。

タバコに関する問題のソリューションとしては、『他人に迷惑をかけず、医療費等で税金を浪費せず、公共の空気を汚さずに同好の士(愛煙家)だけが集まる場所で吸う・もしくはその代替商品開発』しかないという結論に行き着きそうです。

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