Googleを導入した“au”がEZwebへのアクセス数を約2倍に拡大!消費者行動調査では、「ネット検索」と「ブランド力」が重要!
MNP(携帯番号ポータビリティ)の競争を控え、au(KDDI)はWEB2.0の風潮を追い風に出来るか?
携帯キャリアのau(KDDI)が、「Googleのモバイル検索」をNTTドコモに先駆けて導入したというニュースはモバイル業界を驚かせたが、やはり、EZwebにGoogleの検索エンジンを搭載したのはビジネス的に成功だったようです。Googleを導入したことで、EZweb全体のアクセス数が二倍に拡大して、公式サイトへのアクセスも増加したということですから、その増加率は驚異的というほかありません。今では、ドコモもGoogleとYahoo!を含めた13個の検索エンジンを「iメニュー」の「メニュー/検索」から利用可能になっているので、au以上に検索機能は充実してきていますが。
ソフトバンクは、日本でもっとも大きなシェアを持っている自社のYahoo!の検索エンジンYSTを携帯電話に搭載してきますので、検索エンジン搭載競争に乗り遅れたというわけではなさそうです。ちなみにドコモでもGoogleは公式ホームページの中に入れられていますし、手打ちでURLを打てばGoogleで検索することが出来ますから、それほどauと使い勝手が違うわけではありません。
今まで、携帯電話のモバイルユーザは、自由に検索クエリ(キーワード)を打ち込んで、膨大なウェブの中から情報を探すような「自由度の高いウェブの使い方」はしないとNTTドコモなどでは言われていましたが……それはユーザ自身の希望ではなく、携帯キャリアの側が「ユーザを有料公式サイトに囲い込んでいた」からというのが実情のようです。パソコンのユーザの情報収集とモバイルのユーザの情報収集のパターンがそれほど大きく異なるわけはないので、モバイルでもディレクトリ型検索(公式サイト)よりロボット型検索(クエリを打って検索)が主流になっていくことはほぼ間違いないと思われます。
日本のモバイルユーザやモバイルコンテンツのユーザは、アメリカなどと比べると圧倒的に数が多いそうですが、それでもまだパソコンユーザほどコアな長時間ウェブを検索し続けるような使い方をしている人は少ないそうです。これから、モバイルユーザの数と利用時間が増大していけば、今までパソコンで閲覧するのに適していたサイトを作っていたウェブマスターが、携帯サイトを本格的に作り出すことになると思うので、これからますますモバイルでのネットが面白くなるかもしれませんね。
昔、いつでもどこでもインターネットに接続できることを、ユビキタス・コンピューティングというような言い方をしていましたが、現在、実現しているユビキタスのデバイス(接続端末)は携帯電話ということになると思います。KDDI副社長の伊藤泰彦氏が、今、ウェブや通信の世界で起こりつつある変化について箇条書き風にまとめていますが、どれもパソコンでは既に起きてしまった変化となっています。ということは、『次に来るWEB2.0の変化の波』の内容がおおかたわかっている状態で、ドコモ・au・ソフトバンクが鞘取り合戦の競争を始めることになるということを意味しています。
1. Googleに聞けば何でも分かる
2. 情報はスモールグループで共有
3. メールは古い、マルチで仕事
4. 携帯とメディアが融合しつつある
5. ワンセグ携帯の登場
6. 3セグ端末ももうすぐ登場
7. ストリーミング画像を含めP2Pトラフィックが増えている
8. 携帯でも映像データのトラフィックが増えている
9. ネットワークただ乗り論
10. IPの信頼性、セキュリティが問われるようになってきた
上記の変化の流れを、携帯電話に当てはめて簡単に考えてみます。世界全体のウェブ上の情報を網羅的にインデックス化して検索可能な形で提示するYahoo!やGoogleのような検索エンジンの役割は、今後もますます大きくなっていくでしょう。情報はスモールグループで共有とは、そのままmixiの大流行とビジネスモデルとしての一応の成功を示しているように思えます。しかし、mixiと同規模のSNSを独自に携帯キャリアが公式サイトなどで提示するのは、極めて難しいでしょうね。
次のマルチで仕事というのは、パソコンでは複数のアプリや窓を立ち上げて同時に仕事をするということですが、これは携帯電話の小さいディスプレイでは難しい気がします。ワンセグ携帯は既に登場していますが、外に出歩いている間にテレビを絶対に見たいという人であれば、ワンセグのほうが便利だと思います。
携帯の3セグ端末の登場というのは、結局、パソコンのウェブ接続がADSLからFTTHへと変わったような流れに対応するのかもしれませんね。つまり、携帯でも大容量高速通信が当たり前になるような時代がやってくるのは必然であり、その場合には回線や基地局の帯域幅を大きく独占する業者(サイト)に対して『ネットワークただ乗り論』の問題が出てくるのだと思います。
ネットでは既に、YouTubeやGyaOといった大容量の動画を配信し続けるサイトの、大規模な帯域幅の使用が問題になっており、大量のトラフィックを集める動画配信サイトには、NTTの通信回線のインフラ使用料として別料金を払ってもらうべきではないのかという議論も起きているようです。
KDDIの伊藤氏は「(携帯の)個人への紐付けによるサービス拡充が今後の鍵」ということで講演を終えたそうですが、これはIDとパスワードの一元管理ツールとしての役割を携帯電話が果たし、各種のウェブサービスやネットバンキング、オークションなどの分野へビジネスの足先を伸ばしていきたいということかもしれません。
今はドコモのおサイフケータイの「iD」というクレジットサービスなんかでは、オリックスレンタカーの料金支払いなどを携帯で出来るようになっていて、結構便利ですから、携帯電話がクレジットカードやウェブサービスの個人認証の道具として普及する日はそう遠くないでしょうね。iDと普通のおサイフケータイの最大の違いというのは、iDはクレジットカードですからコンビニなどで現金でチャージする必要がないということですね。いずれにしても、SONYが開発したFeliCaを利用したサービスというのは、おサイフケータイやEdyをはじめとしてますます拡大すると予測されています。
モバイル検索とも絡む話ですが、調査会社のエーシーニールセンによると、消費者の購買の意思決定に関するマーケティング調査では、インターネット検索とブランド価値が購買行動の決め手となるという結果が出ているそうです。
インターネット検索とブランド力がとりわけ大きな影響を持っていたのは、、「休暇や旅行」(54%)、「MP3プレーヤ」(42%)、「携帯電話」(39%)、「ローン」(29%)などだった。一方、ブログを参考にすると回答した人は、すべての製品とサービスにおいて10%以下となった。車、銀行、携帯電話に関しては、ブランド名やブランドの評判を参考にして購入を決定したり、以前使ったことがあるブランドや会社を選ぶ傾向が強かった。
また、日本の消費者は世界全体と比べ、インターネット検索以外に、テレビや出版広告がすべての製品・サービスの購入において影響を与えていることが分かった。
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