大手菓子メーカー「不二家」が、消費期限切れの材料をお菓子に使用!求められる「消費者の食の安全」と「企業の社会的責任」の自覚!
不二家(本社・東京)といえば、“ペコちゃん”の商標でお馴染みの知名度の高い大手菓子メーカーで、僕もイチゴのショートケーキやプリンアラモードなどが好きだったのですが、今、大きな隠蔽疑惑の波に襲われていますね。消費期限切れの牛乳をシュークリーム製造に使っていたことが内部調査で発覚していたのに、それを経営陣が早期に公表せずに放置していたことが問題視されています。
この問題は、食品衛生法に意図的に違反したという意味で『消費者の信頼への違背行為』であると同時に、経営者のコンプライアンスと消費者感情に対する『危機管理意識の低さ』が原因になった事件だと思います。
細菌基準10倍で出荷 不二家、社内連絡が不徹底大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)の埼玉工場が昨年10月から11月にかけて消費期限が切れた牛乳を使ってシュークリーム約1万6000個を製造、出荷していた問題にからみ、同社は11日に開いた記者会見で、昨年6月に同工場で作った洋菓子「シューロール」から基準を超える細菌を検出しながら、そのまま出荷していたことを明らかにした。
同社によると、昨年6月8日に製造したシューロールの細菌検査で、食品衛生法が定める基準の約10倍、同社の自主基準の約100倍にあたる細菌数を検出した。本来は再検査のあと廃棄しなければならなかったが、検査結果の社内での連絡が不徹底だったため、113本が出荷されたという。同社はほかにも、アップルパイ製造の際に賞味期限が過ぎた材料を使ったことなども明らかにした。
しかし、この古い牛乳やりんご(消費期限切れの材料)などをお菓子作りに使うという行為は、他の小規模店舗でも行われている可能性はあるでしょうね。消費者の多くは、性善説的に食品会社や外食店舗を信頼していることが多いわけですが、外食産業などでアルバイトをしている人の話を効くと、意外に「材料の使い回し」や「消費期限に融通を効かせること」は行われているようです。
不二家のベテラン菓子職人(従業員)は、自分が大手メーカーの製造責任者であることを忘れて、「期限が切れても、一日、二日くらいなら健康被害は出るはずがない」という安直な判断をしたのかもしれませんね。
個人経営(家族経営)の惣菜店や居酒屋などでは、多少古い材料を揚げ直して違う料理にしてしまっても、食中毒などが起こらない限りは大きな問題にならないでしょうが、不二家は全国チェーンの大規模メーカーですからいい加減な食品安全管理は許されないと思います。
全国チェーンを展開する大規模な株式会社でも小規模な店舗でも、『消費者の食の安全と健康を守る』という企業の社会的責任(CSR)に差があるわけではありませんが、企業のコンプライアンス(法令遵法)に注がれる社会からのまなざしや評価の厳しさは大きく異なるでしょうね。投資家に対する説明責任も十分に果たされていませんし、株式市場において不二家が信頼を取り戻す為には、企業体質改善(情報公開の徹底)に向けた相当な努力をしなければならないと思います。瞬時に情報が伝播・拡大していく情報化社会においては『自社に不利な情報を隠蔽しようとする行為』は、自社の信頼を失墜させてブランドイメージを悪化させる逆効果となることが極めて多くなっています。
不二家の藤井林太郎社長は、「このままでは(集団食中毒を起こした)雪印乳業の二の舞になる」という発言について、「ことの重大さを伝えるための表現で、隠蔽(いんぺい)するつもりはなかった」と釈明していますが、もう少し早い段階で、ありのままの事実を公表して謝罪と改善を明言しておけば世間とマスコミの反応も変わったかもしれませんね。
例えば、「お菓子の材料に、消費期限切れの牛乳やりんご加工品が使われたとの内部調査報告があり、申し訳ございませんでした。不二家は全社を挙げて、材料の消費期限を遵守するよう従業員に指導し、お客様の安心と信頼に応えられる企業体制を再構築していきます」とでもいっておけば、ここまで大々的にマスコミ非難を浴びることはなかったのではないかと思いますが……いざ、その状況になってしまうと、余り表ざたにならずに内部で問題処理できるのではないだろうかという誘惑に駆られてしまうのでしょうね。
これは企業活動におけるコンプライアンスだけでなく、個人のちょっとした違法行為のようなものにも当てはまる心理で、人間の逃れがたい『心の弱さ』でもあります。内部告発のリスクを考えると、企業の経営者や行政の責任者は『隠蔽できるかどうか分からないという不利な情報』については、出来るだけ早期に情報公開したほうが傷口を浅くできるかもしれません。情報公開の強化や経営の透明性、業務の安全性、社会に対する責任感というのが、これからの健全な企業活動のキーワードになってくると思います。
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