29~39歳のフリーター・ニートも国家公務員になれるチャンス!「再チャレンジ支援総合プラン」で国家公務員の中途採用枠を拡大!
安倍晋三首相が、敗者復活が可能な『再チャレンジ社会』を作り上げていくということを首相就任直後から言っていましたが、その具体的な政策が一つでてきましたね。今まで、公務員は地方も国家も年齢制限があったのですが、2007年度の国家公務員の採用試験から年齢制限が大幅に緩和されるようです。地方公務員のほうは各自治体が年齢制限を規定しているので、まだ暫くは、20歳代前半から30歳くらいまでの年齢制限は残るのでしょうが、段階的に年齢制限は撤廃することが望ましいでしょうね。
国家公務員の中途採用というのは以前からあったのですが、年齢が28歳くらいまでに制限されていたように思います。今回の改正で新設された中途採用枠では、『29歳から~39歳まで』を対象にしているので、ちょうど就職氷河期に当たっていた人たちに再チャレンジのチャンスが与えられることになりそうです。競争が激しくなっている民間の市場経済では、雇用が大きく流動化していますので、一度就職すれば滅多なことでは解雇されることのない国家公務員はなかなか魅力的な職種かもしれません。
国家公務員に中途採用枠新設 29~39歳を対象に政府は「再チャレンジ支援総合プラン」の一環として、29~39歳を対象にした中途採用枠を2007年度の国家公務員採用試験からを新設すると、読売新聞が2007 年1月24日の夕刊で報じた。国家公務員3種試験(17~20歳が受験資格)と同レベルの試験を07年9月に実施し、100人程度を採用する。当初はフリーターに限定した国家公務員の中途採用を検討していたが、フリーターの定義があいまいなため、年齢制限を設けたという。
ただ一つ残念なのは、今回、門戸が開放された国家公務員は、高卒レベルを対象とした国家Ⅲ種の試験であることですね。国家Ⅲ種だと、一流とされる大学を出てニートやフリーターになっている人が積極的に受験しない可能性があるので、どうせ門戸を大きく開くのであれば実力重視とポジティブ志向を徹底して、国家Ⅱ種(短大卒レベル)と国家Ⅰ種(大卒レベル・キャリア職)の受験資格も与えるべきだと思います。現状では、国家Ⅲ種の中途採用枠拡大でも、精一杯頑張ったということなのかもしれませんが。
公務員の強みは、何と言っても、終身雇用制度と年功序列賃金が未だに残存していることですが、国家Ⅲ種では出世できるキャリアに限界があり、小規模な部署の係長や課長になるのも困難といわれます。贅沢を言えば切りがないものですが、やる気と学力がある人にもっと広汎にチャンスを与えること、そして、公務員の世界にも一定の結果責任と実力主義を普及させることで、日本人の活力と意欲はより増していくのではないかと思います。
国家財政の加速度的な悪化と社会保障制度の不安を考えると、中央・地方の官僚機構の上層部の人たちは、『最低限の結果責任(大規模な公共投資の失敗に対する責任)』は負うべきでしょうね。どれだけ税金を無駄遣いしても自分の給与には関係ないとか、財政が破綻しかけるほど国債や地方債を増発しても何の責任も取らずに安泰の老後が過ごせるとかいう状況では、国家財政も地方財政も健全化することは不可能なのではないかと思います。自分の家計や給料と同じように、国家や地方自治体の財政を真剣に丁寧にやりくりすること、基本的財政収支を均衡させるプライマリーバランスを取ることが大切だと思います。
安倍政権の再チャレンジ政策から財政再建の話に逸れました……。不十分な面もあるとはいえ、今までは年齢条件だけで受験資格なしとされていた人に、受験資格が与えられるわけですから、これを機会にフリーターや無職から離脱したいという人には朗報ですね。国家Ⅲ種の試験は、中程度の進学校に通っていて普通に授業を真面目に受けていれば合格できる問題のレベルですから、競争率が高くなるという不利益があっても、ペーパーテストや勉強が得意な人がみっちり勉強すれば、合格する確率はかなり上がると思います。
しかし、今の日本の失業率やフリーター・ニートの数を考えると、倍率がとんでもない数字になる可能性があるので、過度の楽観は許されませんね。30歳代が就職困難な現実を考えると、有名大学を卒業している人で受験する人の数も少なくはないでしょうし。とりあえず、問題の難易度よりも、1点や2点を争う相対的な得点争いが苛酷になりそうです。
フリーターや無職の再就職を支援する政策ですから、恐らく、今まで働いてきたキャリアは合格の参考にはされないと思いますが、そうなると、純粋なペーパーテスト(試験勉強)の競争という意味で『公平な競争』にはなりますね。とはいえ、30歳代のフリーターを対象とする予定だったようなので、完全に仕事をしていない無職だと、若干、採用の選考過程で不利になる可能性があるかもしれませんが。
- 関連記事
-
- 柳沢伯夫・厚労大臣の「女性は子どもを産む機械」の失言!深刻化する少子高齢化とワーキングプアの現実に打ちのめされる若年層!
- 29~39歳のフリーター・ニートも国家公務員になれるチャンス!「再チャレンジ支援総合プラン」で国家公務員の中途採用枠を拡大!
- 異例の早さでイラクのサダム・フセイン元大統領の死刑執行!アメリカ主導(ユダヤ支援)の世界秩序に挑戦する中東の政治と宗教!