「若者の車離れ」と「所得格差の拡大」で新車の国内市場が縮小!高級車の販売が伸び、大衆車の販売が低迷!
「若者の車離れ」と「所得格差の拡大」で新車の国内市場が縮小!
日本国内の自動車市場は段階的に縮小していると言われていますが、2007年の国内新車販売は前年比6.7%減となり535万3645台となりました。景気が低迷してからも、排気量1500CC以下のコンパクトカーや軽自動車の売上は好調でしたが、2007年度は軽自動車の売上も5.1%減の191万9816台となっています。「車の買い替え周期の長期化」や「軽自動車を買う若年層の縮小」が起きたのではないかと考えられますが、非正規雇用者や無職者が増加して購買力のある日本の中流階層が緩やかに没落していることが、車の販売不振の根底にあるのかもしれません。公共交通機関が十分に普及していない地方では自動車は生活必需品ですが、都心部では電車・バスなどの交通網が発達しているため、経済的に余裕のない層が車をほとんど買わなくなったということもあるでしょう。
低迷の背景について自販連は、『消費者の嗜好多様化・賃金の伸び悩み・人口の高齢化・ガソリン価格の高騰』などを想定していますが、若者の車離れの一番の原因は正規雇用の減少と賃金の低下でしょうね。インターネットや携帯電話にお金を使っているから車を買わないというのも一理ありますが、これらの情報通信による娯楽費は平均すれば月に1万~2万程度で、大半の人は1万円の範疇に収まるのではないかと思います。買い物やデート、移動などに自動車があれば便利ですが、自動車は駐車場料金の高い都心部では特に『維持にかかるコスト』が大きくなるので低所得者が車を持つことは難しくなります。自動車販売を個人の経済的要因から押し上げていくとすれば、『自動車関連の税金や車検費用の値下げ』や『安価な公共の駐車場の増設』などに効果があるのではないかと思いますが、平均所得以下の層の給与水準の引き上げなども重要でしょうね。
自動車販売が落ち込んでいる中で、レクサスのLSやIS、ニッサンのGT-Rなどの高級車だけは販売を伸ばしており、日本社会の経済的な二極化の影響が顕著に出ているとも言えます。所得格差の拡大により、500万円以上するような高級車の需要は高まり、今まで一番売れていた150~300万円程度の一般者の需要が落ち込んできているのかもしれません。トヨタの高級ブランド「レクサス」は前年比11.9%増の3万4803台を売り上げており、他社の車とのブランディングによる差別化が有効であることを示しています。
深刻な若者の車離れ 国内新車販売25年ぶり低水準
セルシオの後継車となっているLSの上位グレイドになると新車価格が1000万円以上もするわけですが、LSや800万円程度するGT-Rの販売が好調でも、中流階層が買っていた200万円前後の価格帯の車が売れないと、日本市場は縮小を続けることになるでしょうね。自動車メーカーの会合では、「(従来の販売刺激策のように)モデルの数を増やしてもダメ。顧客が買いたい商品を(重点的に)投入する以外にない」などの意見が出ているようですが、「買いたい商品がないから買わないのか、お金が無いから買わないのか」というニワトリと卵の因果関係をとり間違わないようにしないといけないと思います。現在の新型の車はデザイン面でも機能面でも一昔前の車より圧倒的に良くなっていますが、新車価格は高くなり給与水準は落ちているわけですから、買いたくても買えない層の底上げや車の維持コストの引き下げが業界再生の課題になりそうです。
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