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2008.05.1707:03

医療業界の労働力不足、インドネシアの外国人看護師を1000人受け入れることになる予定!フィリピンとの看護師受け入れの交渉も続く!

医療業界の労働力不足、インドネシアの外国人看護師を1000人受け入れることになる予定!

少子高齢化の進展と労働環境が厳しい業界(産業)の人気低下によって、製造業・建設業・医療介護などの分野では長期的に見ると「労働力不足」の問題が深刻化すると見られています。すべての産業で労働力が不足するわけでは当然ないのですが、最近は「現場の悲惨な状況・国家財政の悪化・過労死の実態」などが明らかになってきている医療・介護の分野で人材離れが起きてきており、医師不足と看護師不足が指摘されるようになってきています。少子化傾向で医師になる人が増えているのに「医師不足」というのはおかしいという意見も確かにあるのですが、不足しているのは「訴訟リスクと精神的負担の大きい診療科(産婦人科・小児科など)・過疎地域の医師(社会インフラが未整備で地域に魅力が少ないなど)・労働環境の悪い大病院(仕事に比較して給与が低い病院の勤務医)」であり、開業医などの医師が不足しているわけではないようです。

医師不足の問題の多くは、自分の自由裁量で診療時間を調整できる「開業医」ではなく、厳しい労働条件(雇用待遇)の中で決められた過重な役割と責任を遂行しなければならない「勤務医」にあります。開業医で過労死したというケースは往々にして聞きませんが、勤務医では研修医も含めて年間にかなりの過労死や精神疾患の発症などが報告されており、医療現場の優秀な人的リソースが労働環境の悪さのために潰されていくという問題が指摘されています。医師の大半はもともと体力や気力に優れているわけではなく、学力と偏差値によって大学入試で選抜されているので、体力・気力などが充実していない人材(しかし、医学的知識・短期的診療では優秀な人材です)というのがなかなか生き残れなくなっている現状があります。大病院(公立病院)や大学病院で働く勤務医は、緊急医療や大規模な手術を必要とするような致命的疾患の治療に欠かせませんし、過疎地域や地方の小病院で働く勤務医も「医療インフラの基盤」ですから、これからの日本では日本全国の医療体制をどうやってバランスよく保っていけるかが非常に重要な課題となっているのです。

しかし、苦労して勉強して大変な国家試験と研修を乗り越えて医師になった人の多くは、「需要と娯楽の少ない地方」に進んでいきたいとは思わないという現実もあり、「訴訟リスクや診療面でのストレスが大きい診療科」には勤めたくない(専門にしたくない)という問題もあります。そのため、ここ最近では「医師・技師・弁護士などを中心とした外国の知的労働者の移住」を促進して、日本で不足する社会インフラの知的リソースを補充していこうという議論が起きています。それと合わせて、日本人労働者(若年者層)には余り人気がなくなってきている「看護師・介護士・福祉士のような体力と精神力を要する仕事」を資格を持つ外国人労働者にアウトソーシングしようとする動きも強まっており、数十年後の高齢化社会で看護・介護の主力を担うのはアジア系の外国人看護師(介護士)ではないかという意見もあります。

インドネシア人の看護師・介護福祉士を2年間で1000人受け入れることを中心にした経済連携協定(EPA)が、16日午前の参院本会議で自民、民主、公明各党などの賛成多数で承認されたというニュースも「医療分野の外国人労働者の受け容れ」のさきがけとなるものでしょう。まだいくつかの外交手続きが残っているのですが、7月下旬にも第1陣が来日する予定となっており、1000人規模のインドネシア人看護師を受け容れるのかまでは確定していませんが、少なくないインドネシア人の看護師たちが日本の医療に貢献してくれることになりそうです。

個人的には医療分野の人材不足は、日本国民の生命と健康、生活に直結する問題であり、「日本人しか看護師をしてはいけない」という保護主義的なやり方は通用しにくくなると思うので、「一定レベル以上の知識・技能・実務経験を持つと認められた外国人の看護師・介護師」であれば感謝して受け容れるべきではないかと思います。段階的に、医師や弁護士、技師といった専門的職業分野の人材も日本に受け容れていくことで、日本の潜在的な労働力不足を補填することができるのではないでしょうか。こういった専門性の高い職業に就く人たちが、日本の治安に悪影響を与えるとは思えませんし、日本の産業と健康を支えるために真面目に働く意欲がある人であれば国籍を問う必要性は余りないのではないでしょうか。雇用待遇面でも差別的な取り扱いをしないような注意は必要だと思いますが、将来的には医療をはじめとする一部の分野では人材の多国籍化が進むのかもしれません。

日本が看護・介護分野で外国人労働者を本格的に受け入れるのは初めてなのですが、看護師を400人、介護福祉士を600人受け入れる予定となっています。厚生労働省は週明けに、受け入れ病院・施設の条件を定めた指針を公表する予定で、外郭団体の「国際厚生事業団」が来週に東京、大阪の2カ所で説明会を開催して受け入れ病院・施設との条件を詰めていくようです。受け入れ先リストをインドネシア海外労働者派遣・保護庁(NBPPIW)に送って、就労あっせんを両機関で一元的に取り扱っていくということですが、日本に来て働くことになる看護師は3年、介護福祉士には4年を上限にビザが発給される見込みとなっており、看護師や介護福祉士ははじめは助手としての扱いとなり、その後に(インドネシアでの資格を持っていても)日本における看護師資格の取得を行うことになっています。こういった医療分野の人材を受け入れる交渉はフィリピンとの間でも行われており、フィリピンの議会で承認されればフィリピンからの看護師受け入れも進むのではないかと見られています。

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