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2006.03.2718:14

富山県射水市の人工呼吸器取り外し問題で尊厳死の法制化の議論が進むか?!

昨日から、富山県射水(いみず)市の射水市民病院で、入院患者7人が延命措置を中止されて死亡した問題がマスメディアで取り上げられていて、この人工呼吸器の取り外しが患者、更には、家族の同意の上だったのか否かが大きな争点となっています。

日本は、法的に積極的な安楽死の措置は認められていませんが、本人と家族との間に了解を得て、慣習的に、今回のような消極的な安楽死は行われているという事情があります。耐え難い身体的苦痛が緩和できない患者や自発呼吸が出来ず回復の見込みがない患者に対して、人工呼吸器を外すなどの「消極的安楽死」は事実上認められています。

ただ、今回の富山県の事件のような激しい争いになるケースでは、家族に対して十分な説明がなく明確な同意を取りきれていなかったという経緯があるのかもしれません。病院側は説明をして同意を得たという立場を崩していないので、今後の捜査の進展を見守ることになりそうです。

しかし、現在の日本の尊厳死には明文化された法の裏づけがなく、名目上は尊厳死(消極的安楽死)ではなく自然死(病死)の形式が取られるので、患者および家族、関係者に十分な説明がなされていないと今回のような不祥事や倫理的問題を引き起こすでしょうね。

オランダなどでは安楽死を実行できる条件が法制化されていて、こういった倫理上の問題や患者からの訴訟の可能性を排除する制度的な仕組みが整えられていますが、日本の場合にはまだ医療行為の一環として『尊厳死の一形態としての安楽死』が認められるのかの十分な議論がなされていないのが現状だと思います。

別の外科医も関与?富山県警が聴取

富山県射水(いみず)市の射水市民病院で、入院患者7人が延命措置を中止されて死亡した問題で、7人の中には、問題の外科部長(50)以外の医師が主治医だった患者もいることが26日、わかった。

富山県警は、外科部長から任意で事情を聞くとともに、人工呼吸器の取り外しに、部下の外科医3人らスタッフがどのように関与していたか事情聴取し、殺人や殺人ほう助容疑にあたらないか、慎重に捜査を進める。

調べによると、7人の人工呼吸器の取り外しは2000~05年にかけて、いずれも外科病棟で行われた。その場には、外科医や看護師らスタッフ数人がいた。外科部長が延命措置などにあたっては「権限と責任を持ち命令する立場」(麻野井英次院長)にあったが、7人のうち少なくとも1人は、外科部長が主治医でなく、他の外科医が担当していたという。

過去の判例などを元にして慣習的に行う安楽死というのは、不明瞭な部分が多いことと、患者や患者の家族への十分なはっきりした説明がしにくいことなどから改善されるべき状況が多いと思います。倫理学の領域では、安楽死については積極的なものについても、消極的なものについても多くの議論が積み重ねられてきていますが、今後の日本の医療において安楽死が正当な合法的選択肢の一つとなる日がくるかどうかは分かりません。

SOL(生命の絶対的尊厳)の立場から、安楽死の法制化に強く反対する考えの立場もありますし、人間が自分の死を自己決定して良いのか悪いのかというのは、功利判断や個人の意志を越えた宗教的・倫理的な問題が深く絡んできます。QOL(生命の質)の倫理の立場からは、積極的な安楽死に対しては反対もあるでしょうが本人の承諾と要請を得た消極的な安楽死は容認することになるでしょう。

ただ、法的にどういう条件が揃えば安楽死を認めるのか認めないのかというボーダーラインが曖昧なままでは、患者や患者の家族だけでなく、困難な判断を強いられる医療従事者も共に不幸な結果を迎えてしまうリスクが高いと思います。

毎日新聞の記事では、尊厳死の法制化には賛否両論があるということが出ていて、世論の動向としては回復の見込みのない延命治療は中止したほうが良いという意見が大勢を占めるようです。

クローズアップ2006:富山・射水の呼吸器外し 尊厳死か、殺人か

◇尊厳死、法制化に賛否

国会では、超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(中山太郎会長)が05年2月に発足。11月には、患者の意思に基づく延命治療の中止を認める法案づくりを進めることを決めている。また、日本尊厳死協会(井形昭弘理事長)は05年6月、国民が尊厳死を選ぶ権利や延命治療を中止した医師の刑事責任を問わないことなどを法制化するよう求める請願書を14万人分の署名とともに提出。一方、法制化に反対する学者や難病患者は「安易に死を選ぶ風潮をつくりかねない」と批判している。

◇「延命中止を」74%--国民/「生命を短縮」3%--医師

厚生労働省の「終末期医療に関する調査等検討会」は03年、末期医療について世論調査をした。延命治療中止を望む国民は7割を超え、医療関係者では8割に達した。一方「積極的に生命を短縮する」行為への賛成はわずかで、医療関係者ほど慎重な現状も浮かんだ。

調査では一般国民の80%、医師の92%、看護師の95%が、末期医療に「関心がある」と回答。自分が「痛みを伴う末期状態(余命約6カ月未満)」になった場合に「単なる延命治療はやめてほしい」などの回答は、一般で74%、医師で82%、看護師で87%に達した。

しかし、「医師が積極的に生命を短縮させる」ことを認めたのは、一般で14%、医師で3%、看護師で2%に過ぎない。「苦痛を和らげることに重点を置く」が一般で59%を占め、医師や看護師では8割を超えた。

その点では、最近、3件連続で行われた脳死患者のドナーによる生体移植手術などは法的な脳死の線引きがしっかりとしているので、安楽死のようなコミュニケーションの食い違いによる問題が起きにくいシステムが整えられていますね。脳死と共通する安楽死の倫理的問題は、『人間の自由意志による自己決定権の範囲・極限の苦痛を得ている患者の死を選択する権利の有無』をどのように設定するのかというところにあると思います。

一応、判例では『耐え難い苦痛の緩和手段が他にないこと・不治の疾患で回復の見込みが皆無なこと・本人の死の自己決定(安楽死の明確な意志および要請があること)・安楽死の手段に苦痛がなく残酷でないこと・医師の手による安楽死であること』などが安楽死の条件として挙げられているようですね。とりあえず、大まかなポイントだけ挙げて考えてみましたが、現代医療が抱える非常に大きな倫理問題の一つであると思います。

44例目の脳死移植へ=5病院で実施、1週3例は初

富山県立中央病院に脳血管障害で入院中の患者が、臓器移植法に基づく脳死と判定され、提供臓器の摘出手術が26日午後、同病院で始まった。同法施行後、脳死判定は45例目、移植は44例目。脳死移植は21日と25日に行われたばかりで、1週間以内に3例実施されるのは初めて。

日本臓器移植ネットワークによると、家族の希望で、患者の性別や年齢などは非公開。患者は26日午前0時24分に脳死と判定された。 

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