パナソニックが三洋電機(SANYO)を買収、「株安」を利用して環境技術・電池部門を強化!
パナソニックが三洋電機(SANYO)を買収、「株安」を利用して環境技術・電池部門を強化!
「松下電器産業」から「パナソニック(Panasonic)」に社名変更したパナソニックですが、世界的な株価下落の状況を活用して三洋電機(SANYO)にTOB(株式公開買い付け)を行うようですね。パナソニックが三洋電機に対して協調的なM&Aを行うことで、「日立」を抜く日本最大の電機メーカーが誕生することになります。国際競争の激化や世界的な不景気という悪条件の中で、新生パナソニックは更なる利益の成長と技術の開発を達成していくことができるのでしょうか。パナソニックが三洋電機(SANYO)を買収することに決めた大きな要因には「株安で買収の条件が有利になっていること」や「三洋電機に技術的な魅力があること」がありますが、特に耐久性・汎用性のある「リチウムイオン電池の技術」では三洋は世界最高レベルの技術力を持っています。
日本には世界的な電機メーカーが数多くありますが、「売上高」で企業の規模を見ると「日立・パナソニック・ソニー・東芝・富士通・NEC・三菱電機・シャープ・三洋電機」の順番になっていて、パナソニックが三洋電機を買収すると国内で最大の電機メーカーとなります。電機業界の再編が進む流れになっていますが、三洋電機が単独で国際競争に勝ち抜くことが不可能と判断したようにそれぞれの強みや技術を補い合う形での「選択と集中」は続きそうですね。パナソニックはTOBの手法で三洋電機の全株式を取得して「完全子会社化」を目指す意向を持っているようですが、そこまでしたパナソニックが三洋電機を欲しがる理由は「将来の急速な需要増大」が見込める電池技術があるからと考えられています。
三洋電機は携帯電話端末などに採用される「小型のリチウムイオン電池」の分野で高い技術力をもっており、未来のクリーンエネルギーとして注目を集めている「太陽電池」の分野でも世界トップレベルの技術をもっていますから、それらの電池分野で後塵を拝しているパナソニックにとっては魅力のあるM&Aになってきますね。二酸化炭素排出量が少なく環境保護に役立つとされている「太陽電池技術」を一般住宅に導入する際には、日本政府からの補助金がでるようになっており、こういった政府のバックアップによっても太陽電池は更なる需要の高まりを見せそうです。パナソニックは大阪市内に約1,000億円の予算で、リチウムイオン電池を生産する工場を建設する予定であり、三洋電機のリチウムイオン電池の生産技術やシェアを合わせると相当に大きな利益を上げられる可能性があります。
更に、未来における収益源として有力な「ハイブリッド車(HV)や電気自動車向けの電池」があり、「自動車向け電池の開発・量産化」でトップシェアを握ることができれば「ポスト石油文明・クリーンエネルギー時代における勝者」の地位を得られるという目算もあるのでしょうね。液晶テレビ・プラズマテレビなど「薄型テレビの市場」で最終的に生き残るのは、2~3社ではないかと予測されていますが、VIERAを展開するパナソニックはその有力な電機メーカーのうちの一つであり、薄型テレビのディスプレイ生産部門ではシャープとパナソニックの二強がしのぎを削りあうことになりそうですね。
パナソニックにとって三洋電機の買収が「高い買い物」になるか「安い買い物」になるかは予断を許しませんが、太陽電池や燃料電池の市場が近未来において非常に大きな市場になる見込みは相当に強いので、電池製造部門と技術力の強化という意味では有効な買収ではないかと思います。電機産業の業界再編が急速に進んでいますが、その背景には競争激化と市場の寡占化が働いており、世界トップレベルの技術やブランドがないと生き残りが難しい情勢になっています。
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